それってつまり結局は

TEAM NACSとジャニーズのブログ。

北海学園大学演劇研究会まとめ~エースとの最悪の出会い~


なんか少年スポーツ漫画のサブタイトルみたいな表題になっちゃった(笑)。いよいよ、4人が大泉さんと出会い、面白さに気づき、5人組へと認識されることになります。なんとその期間は出会ってからわずか3ヶ月程度の出来事でした。この短期間にあっという間に人生の仲間を見つけた5人を振り返ります。先に言っておきますが、長くなってしまいました…!


  • 1994年
4月初旬

音尾さんが演劇研究会に入部してから数日後、大泉さんは「この腐ったまま大学生活を送るのはだめだ!」と奮起し、落語研究会に入ろうとしますが、北海学園大学には落語研究会がありませんでした。個人的に、もし落語研究会があったとしてそこに大泉さんが入部していても、現在大泉さんはテレビに出ていたような気がします(笑)。春風亭昇太さんみたいにドラマとかも出たりしている落語家さんになってそう(笑)。


森崎:ホント言えばね、僕は会えてなかったわけですよ、彼には。
大泉:2歳年が違って、俺が2浪してるから、ストレートで行くなら俺が入ってる時にはもうリーダーは卒業してなきゃいけない。
森崎:でも俺は待ったね。大泉を待った。
大泉:(笑)。
森崎:大泉と音尾が入ってきた時に、俺は「このための留年だったか」と思いましたよ。「父ちゃん母ちゃんゴメン。学費を多く払わせてしまったけど、でも俺、出会いがあったよ!」っていうふうに今は思うよ
大泉:アレなんじゃない?孫悟空が岩に閉じ込められてさ、何千年後に来る三蔵法師を待ってるみたいな。
森崎:…お前が三蔵なの(笑)?
大泉:三蔵法師が助けに来たんだ
ねえ(笑)。*1


後に放送されるTEAM NACSが声優を務める『モンキーパーマ』では、森崎さんが三蔵法師、大泉さんが孫悟空。そんな企画をするとは思ってもいなかった当時の発言なので面白いですが、もっと面白いのは前々回のエントリーの安田さん同様、森崎さんに慕っていたのは確かなことだけど、どっちかって言ったら僕らが助けに行ったんだよというスタンス(笑)。助けに行くべき逸材ではあったのですが、関係性の捉え方が同じです。こういった細かな面での共通意識も、学生時代から続く変わらなさに必要なものなのでしょう。



大泉さんは演劇研究会に入部すべく、文科系部室棟の「地下4」という練習室に行きます。汚いパンチが敷いてあり、隣にスリッパがあったので別に履いてもいいだろうとスリッパを履き、離れたところにある指揮台の上のパイプ椅子に座って部員たちのやりとりを遠くから見ていた大泉さん。この大きな態度に驚いたのが森崎さんで、腹が立ったのが戸次さんで、全く違うところを発見して好意的に捉えていたのが安田さん。こうも先輩が三者三様に捉えることってあるんでしょうか。


まずは驚いた森崎さん。その「地下4」という練習室は元々音研サークルが使用しており、当時実力のなかった演劇研究会は毎週月曜日と木曜日だけその練習室を間借りしている状態でした。


森崎:俺は当時5年生。去年までの演劇研究会をよく知ってるし、なんなら去年までは俺が会長だったでしょ。自分で作り育ててきたっていう思いもある。そんな俺が「新入生は何人くらい入ったのかな?」って思って「地下4」の重い扉をがらっと開けた時の光景だよ!「何だこの光景!?」と思ったね(笑)。「おいっお前!あれなんだ!?ウチの新入生か!?」と。「音研さんかもしれない」と思ったんだけど、よくよく聞いてみたら「新入部員です」って言うから。
大泉:静かに言われた覚えがあるよ。「そのスリッパはまずいなぁ。それは脱げ」みたいな。あきらかにこう、やっぱり「何だお前…生意気な態度じゃないか」っていう感じがして、あぁ、ついに怒られたっていう感じがした。
森崎:なぜ他の連中が誰も怒んなかったんだってことに怒ってたね、俺は。
大泉:誰も言えないような…誰も俺に近づくなっていうオーラを出してたんだろうね、俺は。当時音尾くんが「狼だ!」と言ってたくらいで(笑)。「なぜいつも彼はこんなにギラギラした目なんだ?」って。*2


態度の悪いとっつきにくい男。今の大泉さんからは想像もつきませんが、そのくらい大学受験失敗は彼の心に大きくダメージを与えていたようです。大泉さんは入部してもやさぐれたままで、演劇に対してもあまりいい印象を持てずにいました。


大泉:演劇に対してはやっぱり、中学・高校と観てきた「つまらない」ってイメージがあったから。そしたら、思ってたとおりのことを始めようとするわけだよね、発声だなんだって。「やっぱりだよこの人達」っていう嫌なイメージばっかりだった。そして本当に音尾はイカさなかったね(笑)!
森崎:(笑)イカさなかったね~。
大泉:もちろん俺もしぬほどイカさなかったけど、音尾くんのイカさない顔ぶりって言ったらホントないんだよ。もちろん目も離れてて。音尾を見た時に「やっぱりこういう人が入ってくるんだな」って(笑)。音尾がすごくまたオレの演劇熱を冷めさせたね。
森崎:ひどいなぁ(笑)。*3

入部してまず発声練習をする際に、音尾さんの印象もあってか(笑)、演劇研究会にあまりいい印象を持たなかった大泉さん。ですが、新入部員にその発声練習の指導している安田さんを見て「二枚目で声がいい人だな」と思ったようで、実はそこで大泉さんは安田さんに話しかけているのです。


大泉:僕、大学時代に初めて会った時に「安田さんていい声してますね」って言ったの。
安田:僕覚えてます!覚えてます!一番最初にあなたが僕に言ってくれたことは、「安田先輩って、いい声してますね」でした。「そんなことないよ」って僕は言って、君の腹筋を押した思い出がありますよ。
大泉:(笑)
安田:「いい声になりたいかい?」といいながら、こう(笑)
大泉:そんな恥ずかしい話はいいですよ(笑)*4


話しかけられたことが安田さんは嬉しかったのか、割としっかり覚えていますし、この時のラジオでもとっても嬉しそうに話していました。嬉しかった理由は、この時すでに安田さんは大泉さんをとても面白い人だと見抜いていたからかもしれません。


安田:僕はね、最初から、すごいおもしろいヤツだと思ってて。最初に大泉が演劇研究会に入ってきたとき、ドアの横に傘立てがあってね。それに蹴つまずいて傘を倒したんですよ。その拾い方とか、微妙な間とかがおもしろくてね。*5


私の解釈ですが、大泉さんが一番最初にメンバーの中で好意的にとらえたのが安田さんで、またメンバーの中で一番最初に大泉さんを好意的に捉えたのが安田さんだと思っています。


しかし、発声練習も面白くなく、尖ったままの大泉さんは演劇研究会に行かなくなります。


たとえば、新入生がコピーを取りに行かされたりするじゃないですか。僕は絶対に自分からは行かなかった。周りもなんとなく頼みづらいから、やっぱり音尾とかがすぐに行かされる。同学年のやつからは「なんであいつは行かないんだ」って言われたりもして、居づらくなって部室に顔を出さなくなりましたね。*6


行かないと言っても毎週月曜日と木曜日にしか活動できていなかった演劇研究会なので、そこまで影響はなかったでしょう。実際、新入生歓迎コンパには参加していたようですし。


大泉:「安田っていう変態がいる」って話は、僕が演劇研究会に入った頃から聞いていたんですよ。でも実際に会ってみたら、そこそこ二枚目で良い声で物静かな人でしょ。「なぜこの人が?」と、不思議に思ってた。そしたら彼、初めての飲み会、新入生歓迎コンパでパンツになって、何回目かの飲み会でついに全部脱いだんだよね。オレ、人前で全部脱いだ人を初めて見てさ。その時オレの中で自分の中でタブーが起きたというか。「出す人ってほんとうにいるんだ」と*7


演劇研究会が面白くなかった当初の大泉さんは、その中でもまだマシな人だと思っていたのか、安田さんに関しての記憶が多い気がします。おそらくその大泉さんがあまり来なかった時期に、戸次さんが安田さんに「大泉ってどうなんだ」と相談していたのではないかと思います。


戸次:最初に新入生で大泉が演劇研究会に入ってきたときは、ぶっちゃけ、早く辞めてくんないかなと思ってて。
安田:ぶっちゃけましたね(笑)。
戸次:とにかくあいつ、自分を出さなかったんだよね。まぁ彼も、2浪して大学入って色んな思いがあったんだろうけど、それがバリバリ出てたもんだから、とっつきにくくて。今じゃ考えられないけど、「おもしろくないヤツだな」と思ってた。 それで俺、「大泉ってどうなんだ」みたいな話を安田先輩にしたんだ。
安田:言ってたね、覚えてる。
戸次:安田先輩は見る目があったと思うんだけど、「いや、それは違う。すごいヤツが入ってきたぞ」と。*8


安田さんの観点はすごいですね。出会った瞬間からお互い自分にないものを持っている人だとわかったのでしょうか。とにかく大泉さんを見てピンときた安田さんは、安定して森崎さんの家で飲み明かしながら「ちょっとモリ、すげえ1年が入ったよ」と零したそうです。当時まだ戸次さんは安田さんに対して敬語だったエピソードが有りますが、森崎さんと安田さんはすっかりタメ口で対等な立場になっていたようですね。


森崎:で、安田の言葉を聞いて「おお、音尾かい?」って言ったら「いや違う、大泉くんだよ」って。「何で?」って言ったら「傘立てを倒したんだよ、彼が。その時の顔がね…僕は何かを感じたなぁー」って、安田が熱く語るわけだよ、ウチで酒を飲みながら。俺は全くその面白さはわからなかったけど(笑)。*9
森崎:俺はその時音尾が面白いと思ってたんだ。高校も一緒だって聞いて、すごく可愛がってた。一緒にご飯とか食べに行って。今ではアイツ全く覚えてないらしいんだけどさ(笑)。*10


弟とはそういうものです森崎さん(笑)。この時大泉さんが正直可愛がられていなかったことが影響しているのか分かりませんが、現在では音尾さんより大泉さんが森崎さんに「リーダー、リーダー」と甘えているイメージです。戸次さんのように対等な立場で一緒に過ごすのではなく、森崎さんを上の立場だとして甘えているようなイメージ。


さて、いち早く大泉さんの魅力に気づいた安田さんと、不思議がるメンバー。顔を出さなくなった大泉さんですが、このままフェードアウトするべきかどうか悩み、とにかくもう一回顔を出してみようと試みます。そしてその時、それまで気づかなかった森崎さんをはじめとする先輩たちの面白さに気づき*11、またメンバーも大泉さんの面白さに気づいていきます。


大泉:ほんとうによく覚えているのは、モリのギターだなぁ。なんとなく仲良くなり始めたのは…zo-3(ギター)?
森崎:あぁ、アンプついたエレキ。
大泉:なぜか部室に歌本がいっぱいあったんだよね、その歌本をめくりながら「次なに唄う~?」って、ギターをガンガンかき鳴らして次々唄っていってるのを見ながら「なんとなく楽しいかな?」って思い始めたんだよ。
森崎:『カラオケボックス・モリ』っていう遊びでね。やっぱり1年生はなかなか話せないわけだよ。だから話せない子の所に寄って行って、「よし、次はお前なに唄う?」って言って、1曲一緒に歌ったりとか。ホントのカラオケボックスに行く金なんかないから。*12


そこにも遠巻きに見るだけで参加はしなかった大泉さん。「なんとなく楽しいかな?」と感じたのは、最初にきちんと注意してくれた森崎さんがいたからではないかと思っています。叱ってくれる人って大事ですよね。そして根っからのリーダー気質の森崎さんは、一人遠くから見ている大泉さんに声をかけました。


森崎:僕、カラオケボックスに行く金がなかったんで、よく部室でギターを弾いていたんですね。なんとなくそれは彼も遠目に見ててずいぶんと楽しそうだなと思ってたらしいんです。で、ある時「よし、大泉くんも一緒に歌おう!」って歌本をパラパラ開いて、尾崎豊か何かを私がギターを鳴らして彼が歌ってくれるっていうことをやって。何かそういったところからどんどん仲良くなっていって「面白いね、君」っていうことになって。*13


大泉さん自身があまり口を開こうとしなかったからタイミングが無かっただけで、一回話せばすぐに大泉さんが面白い人だということは分かるはずでしょう。続いて、戸次さんも大泉さんの面白さに気づきます。


戸次:たまたま彼と一緒に小道具を作ることになり、ヤツと話すようになったのね。そしたら「戸次さん、『カリオストロの城』観ました?」って、自分が好きなシーンを再現し始めて。それが、庭師が「なんて気持ちのいい連中だろう」っていうシーンでさ。オレは「うわ、そこに目をつけるか」とグイグイ引き込まれたんだ。それから、得意のものまねも披露してくれるようになり、僕はすっかり彼のファンになってしまって。*14


この小道具というのは、地方公演で使用するための50音表であり、地方公演は6月中旬なので5月くらいの話だと思われます。ちなみに当時、大泉さんは誰に言われるでもなく、たまたま気になったチラシを見てOOPARTSの舞台を見に行ったそうで、*15すでに演劇への興味は湧き始めていたようです。


こうして同い年とは言え先輩後輩なのに、すっかり戸次さんを夢中にさせた大泉さん。他のコンビでは、先輩が後輩を可愛がるという上下関係から仲を深めていきましたが、この二人は戸次さんが大泉さんのファンになったことから、ほとんど対等な立場でスタートしたように感じます。

思えば私とシゲは大学では先輩後輩だった。シゲが2年の時私が1年。ところがある時シゲは言ったね。「俺の基準は生まれた年だから、俺には敬語使わなくていいよ」・・・泣けたね。
(中略)
正直お互いの第一印象は最悪だった。私は私で「なんかシャラーっとしてて気 に入らねーなー」って感じだったし、シゲは演研になじもうとしない私がキライだった。それ以来かなー、私の彼を見る目が少し変わったのは。
(中略)
シゲが私を認めた瞬間は何となくわかる。どんな流れかは忘れたが、私が『ルパン三世カリオストロの城』の最後のシーン、銭形警部とクラリスとおじいさんのシーンをものまねした時じゃないかなー。 庭師のおじいさんの台詞「何と気持ちのいい連中じゃろ」で彼は僕を認め、その後『ビバリーヒルズコップ』のエディーマーフィーで・・・というか吹き替えの下条アトムでもう僕のとりこになっていた。シゲにはよく家まで送ってもらったなー。そのつど何かものまねをしてシゲにガソリン代替わりの爆笑を払っていたものだ。*16


このエッセイ、最終的に「よくよく考えたら俺、シゲのこと好きだからシゲと結婚します」という締めくくりで、出会った当時から何がどうなったらこんな仲良しの方向性になるのかという疑問が残るエッセイとなっています。


ちなみに戸次さんは当時大学生にしてマイカーを持っていましたが、その車の保険料やらなんやらでお金がない状況でした。でも車を売ることは決してせず、「みんなを送らなきゃ」という謎の使命を一人背負い、「乗ってけ」と先輩後輩構わず声をかけていました。しかし、「その代わりガソリン代ないから700円!」とお金を取っていたというエピソードを披露していますが*17、大泉さんの場合は爆笑でまかなっていたようです。個人的な解釈ではありますが、戸次さんは最初からガソリン代を貰う気は無く、ただ大泉さんの話に爆笑したかったからよく乗せていたのでは?と思ってしまいます。


音尾さんに関しても、自分が演研に行かなくなった要因の一つなどと語っていましたが、バク転しまくる音尾さんの姿を見て見直します。


大泉:ある時グラウンドで誰かがすごい勢いでバク転してるんですよ。最後は伸身で一回転して見事に着地して、おおっ!すごい!と見たら、それがなんと音尾だった。あの離れ目、意外とすごいぞって見直したり(笑)。*18


入部から一ヶ月。口達者な大泉さんの本質が伝わり始め、森崎さんが「すげーこいつ!どんどんどんどんみんなの中心になっていく!」と驚くほど、天性の愛されキャラを発揮していきます。


大泉:当時さ、俺は安田のケツに火をつけさせられて(笑)。「俺が今から(屁で)ライターの火を大きくする!」って言われて、ケツの前で火を持たされてたと思うと、やっぱり逆らえなかったのかなと(笑)。
森崎:今なら絶対やらないね…(笑)
大泉:「はいっ!お願いしますっ!」って確か音尾と2人ですげー嬉しそうに持ってた(笑)。そしたら結局、大きくなるどころか風で火が消えたんだよ。「き、消えました!安田先輩!」って(笑)。*19


お父様より受け継がれた伝統芸を見せるほど、大泉さんと音尾さんがお気に入りの安田さん。仲良くなり始めたこの5人を、おそらく他の部員たちは横目で見ていたことでしょう。


  • 6月
地方公演

ついに、ナックス結成のきっかけともなる5人組が成立した地方公演がやってきます。ちなみに演目は少年探偵団とわかりやすい悪役が対峙する話で、そこで大泉さんは大林先生という変な人のキャラで、出るなり子供達を笑わせていたらしく。*20すでにいい役をもらっていたようです。

音尾:地方公演とか行くようになったじゃない?その中で自然と5人一緒にいたじゃない。たしかリーダー風邪引いたことあるよね、地方公演中に。
森崎:うん、すごい風邪引いた。
音尾:ものすごい風邪を引いて寝込んで。その時「ひどい男だなー」と思った覚えがあるの。リーダーが「あぁ。ポカリが飲みたい。とにかく、なんか飲ましてくれ、アイス買ってきてくれ」って言うから「じゃー俺買ってきます!」って買いに行って、戻って来たら他にもさらにまた頼まれて、「じゃそれも、行ってきます!」って行って、戻ってきたっけ「いやー、お前は犬だな!なんでも言えばやるのかお前は。犬か!?」って。
森崎:そんなひどい!
音尾:いや、言ったの言ったの。
森崎:犬は言った!お前が「ワオーン!」と言ったのも覚えてる。たしかに。
音尾:なんかひどいこと言うわーと思ったら、シゲがフォローしてくれたのも覚えてる。「いやでもね、森崎さん病気してるから、気を遣って森崎さんのためにやってくれたんじゃないっすかー。犬はないっすよー森崎さーん」って。
森崎:そんなカンジ悪い感じだった?
音尾:そう。あれ?リーダーの中では違ったの?
森崎:楽しく遊んでるつもりだった(笑)。レクリエーション気分だったんだけど。*21


ジャイアン時代の森崎さんはちょっと破天荒で言葉を選ばない。それをフォローしていた安田さんと戸次さんは本当に偉いと思います。ひどい男だと思いながらも、音尾さんは大泉さんと共に新入部員として地方公演の夜を盛り上げます。


大泉:地方公演で小学校を廻るじゃない。その時にちっちゃな安い旅館に泊まるわけ。楽しくみんなで飯を食うわけだよ。その頃にはもう僕は馴染んでるし、すっかり可愛い後輩になってるたから。で、安田は当時、OOPARTSの劇団員で、モリとシゲはイナダ組。そしたらさ、飯を食い終わった後に…安田って今でもそうだけど少食なんだよね。食い終わったらスーッと部屋へ上がって行っちゃうんだよ。「やっぱOOPARTSはおしゃれだよね」って(笑)。劇団のカラーが、やっぱりさ、OOPARTSはおしゃれだったし、イナダ組は泥臭かったんだよ。「やっぱおしゃれだよね〜。OOPARTSなんか食ったらすぐ帰っちゃうよねー」とか言って。で、イナダ組のシゲとモリはいつまでも食ってんだよ(笑)。ずーっと食ってて、まぁ今思えばやっぱり、俺と音尾がその二人を盛り上げてた感はある。「いやー、食ってますねぇ、イナダさんは〜」って言って。それでモリとシゲにそれぞれ俺と音尾がつくのね。付き人みたいに。で、競い合うようにみんなの残ったものを持っていくんだよ。他の音研とかが残した食いもんとか持ってきて、「先生エビがございました!」とか言って(笑)。「んー!ご苦労!!」ってその残ったのを片っ端から食ってくっていう遊びをやってたね。
森崎:その時からあったよ、そういうシチュエーションコント的なね、俺らでいうエチュード的なものが。それが面白いからとにかく食ってたな。水でも遊んだよね?
大泉:その時俺はモリについてた、付き人みたいな役だったから。そんで、モリが「大泉くん、水だ!」っていうから俺が「いかほど!?」って聞くと「こぼれるほどに!」って言うんだわ(笑)。「はっ!!」と言ってなみなみとついでくる。なみなみついで、「どうぞ!」って言ったらモリがそれをもの凄い勢いで、ほとんどこぼしながら飲む(笑)。っていうのを毎日やってたからな。
森崎:毎日やってたな〜。*22


光景が目に浮かぶようです。本当に変わらないなぁー!


森崎:めちゃめちゃ可愛がってた。で、その地演だったね。「あんたたちは「なっくす」だ」って言われたの。こいつらが1年で入ってきて、俺らととにかくそんな遊びをしてね。飯を食い終わった後は、ミーティングをしている隣の部屋で遊んでた。
大泉:5人が一つの部屋に集まってね。そんでもうとにかく俺がやみくもにいろんな先輩の悪口を言っていくわけ(笑)。ただただ悪態ついて、この人達はゲラゲラ笑いながら、俺に枕投げて怒ってるだけだった。「失礼だろ、お前!」って(笑)。その怒られるのがまた可笑しくて、もういろんな先輩をおちょくって遊んでたんだね。それで一気に仲良くなっていった覚えがあるな〜。*23


ご飯の後のお遊びには参加しないマイペースな安田さんですが、ミーティングには参加せず同じ部屋にいたようですね。ひとしきり遊んだ4人が、森崎さんを先頭に安田さんが一人くつろぐ部屋に向かったのかと思うと可愛いです。


大泉さんの悪態によって仲良くなった5人ですが、メンバーはその悪態を大泉さんの魅力として捉えていて、だから悪態セラピーなんて名言が生まれたんですね。口達者な人は誤解されることも多いでしょうが、メンバーはきちんと大泉さんの本質を見抜いていたからこの時爆笑できたと思うと、ナックスって人を見る目がある集団だと感じます。

安田:とにかく、貶し上手なんですよ。ひどい誹謗中傷を僕に浴びせるんですけど、それが死ぬほど笑えるんです。全くムカつかない。もう、ゲッタゲタ笑いますね。しかも彼は、ちゃんと相手を見てそういうことを言いますからね。本当に嫌いな人間や弱ってる相手に対しては、絶対にそういうことは言わない。だから彼から誹謗中傷されてるうちは、僕自身も元気なんだなぁって思えるんですよ。そういう意味では僕、彼に対してはちょっとしたマゾですね。何か言われるたびに、ゾクゾクゾクッ!「来た、来た、来たぁっ!」って思いますもんね(笑)。*24

戸次:昔よく大泉が言ってた、「大抵のやつは俺にダメージを与える悪口を言えない。だけどお前らは唯一、俺にダメージを与える悪口を言える。だから俺はお前らと付き合ってんだ」って。悪口っていうのはつまり罵倒ってことで。「面白く罵倒できるやつは周りには誰もいないからお前らと付き合ってる。で、俺はそれに負けないように自分を高めていかなきゃいけない」って。*25


安田さん最後はちょっと危ない意見ですが(笑)、とても優しいことを言っています。よく、「自分の悪口はいいけどメンバーやグループの悪口は許せない」と聞きますし、きっとTEAM NACSもそうだと思いますが、長く付き合っている秘訣の中に悪口があるのも面白い理由です。


更に大きなこととして挙げられるのは、仲良くなる5人を見ていた他の部員達が、5人組として捉えたこと。


森崎:そんなことを毎日やってるうちに、当時の会長に「いいから。あの5人は演劇研究会じゃないんだ。あいつらはなっくすだから」って(笑)。それが、本当に始まり。
大泉:演劇研究会のドアに『なっくす』って書いてあったんだよ。なっくすって何なんだろう?って思ってたら、それはそもそも前の年に決めた演研の愛称だったんだけど、恥ずかしくて誰も使えないんだね、そんな格好悪い名前ね(笑)。その格好悪い名前を俺たちにつけて、「あー、あれ演劇研究会じゃないから。なっくすだから」って言ってみんなでゲラゲラ笑ってた。*26


個人的に、この命名されたことが現在の仕事仲間に発展したことに大きく繋がっていると思います。学生時代、仲の良い友達数人とのグループはありましたが、それに名前をつけるとより一層チーム感、グループ感が生まれるもので、友達から一歩進んだ気がします。


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それにしてもいかがでしょうか。第一印象最悪の大泉さんがいながら、出会って3ヶ月程度で5人組となっているのです。大まかに上旬、中旬、下旬と分けて時系列を整理すると、以下の通りになるはずです。


  • 4月上旬
音尾さん、入部

  • 4月中旬
大泉さん、入部

  • 4月下旬
大泉さん、演劇研究会に来なくなる
他のメンバーが大泉さんについてあれこれ話す

  • 5月上旬
大泉さん、演劇研究会に復帰

  • 5月中旬
大泉さん、メンバーと仲良くなる

  • 6月中旬
地方公演で仲が深まる

  • 6月下旬
なっくすと呼ばれ5人組扱いされる



地方公演が大体6月の2週目から3週目にかけて毎年行われているのでそこはずれないとして、ならば戸次さんと大泉さんが仲良くなるきっかけであった地方公演のための50音表作りは直前の5月過ぎだろうし、そう考えると音尾さんより遅くに入部したのに一度来なくなった時期がある大泉さん、そんなにサボってない(笑)。根がいい人だからあんまりサボる勇気がなかったのかと思うと可愛いです。



ちなみに、当初こそは安田さんは大泉さんをお気に入りのご様子ですが、少し経つと現在を見てわかるように音尾さんを最もお気に入りの後輩とします。そして毎週火曜日になると夜な夜な安田さんが音尾さんを誘い、自分が森崎さんにしてもらったように飲み明かしていたようで。おかげで音尾さんは水曜日1講目の体育を落としてしまったようです。*27運動得意なのに残念(笑)。そしてその頃住んでいた初めて一人暮らしをしたアパートは、跡形もなく無くなっていたという(笑)。*28


一番最後に入ってきた大泉さんによって結成されたと言っても過言ではないナックス。そんな大泉さんはエースとしてナックスの中心にい続け、変わらず人を楽しませます。


森崎:僕、彼とよく散歩するじゃないですか。
音尾:やってますね、散歩部。
森崎:あいつ、歩きながら1時間でも2時間でもしゃべってるんだ。でもそうやって話してると、ナックスはこのままだったら揺るがない、大丈夫だなって実感できる。非常に心強いですよ。*29


人気、実力だけじゃない絶対的エースがいるとうのは、かなりの強み。改めて考えると、大泉さんはおそらく私の知っている限り、最も大学受験に成功した人です。出会いに敵うものはなし。


かなり長くなって申し訳ありませんでしたが、どうしてもこれをひとまとめにして、しかもハナタレ全国放送前に更新したかったのです。こんな出会いだった5人が今も変わらない様子を皆さんと共有したくて(笑)。



さて、次回は仲良くなった5人の爆笑エピソードを並べます。どうしてこんなにこの人たちは漫画のキャラみたいな行動をするんだ(笑)。その前にハナタレ全国放送の感想をはさむことでしょう…!しばしお待ちを&明日のハナタレ全国放送、楽しみましょう!



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*1:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*2:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*3:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*4:GOLGOLGO』2004年9月24日放送

*5:『下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。』パンフレットより

*6:鈴井貴之編集長 大泉洋

*7:『下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。』パンフレットより

*8:『下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。』パンフレットより

*9:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*10:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*11:鈴井貴之編集長 大泉洋

*12:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*13:『Cut』2008年5月号

*14:『下荒井兄弟の、スプリング、ハズ、カム。』パンフレットより

*15:会報2004年6月号

*16:CREATIVE OFFICE CUE リレーエッセイより

*17:会報2006年6月号および『TEAM NACS TEN』より

*18:鈴井貴之編集長 大泉洋

*19:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*20:鈴井貴之編集長 大泉洋

*21:会報2006年3月号および『TEAM NACS TEN』より

*22:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*23:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*24:『LOOSER〜失い続けてしまうアルバム〜』パンフレットより

*25:会報2006年6月号および『TEAM NACS TEN』より

*26:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*27:『LOOSER〜失い続けてしまうアルバム〜』パンフレットより

*28:ハナタレナックス』2012年3月29日放送

*29:『下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。』パンフレットより