それってつまり結局は

TEAM NACSとジャニーズのブログ。

北海学園大学演劇研究会まとめ〜森崎博之の決意〜

いやぁ~お待たせしました!TEAM NACSが本格的にお別れしていた1年間のお話です。このバラバラになった期間の経験は、今考えると大切な時間だったと思います。



前回のエントリーでTEAM NACSは解散しましたが、仲違いをしたわけではないので、解散公演の後も、森崎さんを東京に見送るまで5人は思い出を作り続けました。



3月

森崎、上京


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毎年3月20日ごろに行われている北海学園大学の卒業式。森崎さんと安田さんの卒業を祝って撮った5ショット。みんないい笑顔でよかった。



この後、森崎さんと安田さんは卒業パーティーに二人で参加し、パフェを食べて帰ったそうです。その結果、森崎さんは風邪をひきました(笑)。上京して就職するっていうのに身体弱いんだからもう〜!



大泉さんは順調に面白さを発揮して『モザイクな夜V3』に出演していました。『モザイクな夜V3』は24:50から30分間の深夜番組なのに、まさかの月曜から木曜までの帯番組(笑)。「思いついたことはなんでもすぐにやる!」というのがモットーの、ほぼ撮って出し番組でした。ここで『水曜どうでしょう』につながる大切な出会いもあります。


番組後期に作られた『古畑任三郎』のパロディコント「占畑任三郎」は、後に『水曜どうでしょう』において顔を揃えるメンバー(鈴井貴之大泉洋藤村忠寿嬉野雅道)が初めて一緒に仕事を行った作品である。鈴井は占畑任三郎(田村正和役で脚本も担当)、大泉は今泉(西村雅彦役)、嬉野は警官役のエキストラとしてそれぞれ出演し、音効は工藤、演出は藤村が担当していた。*1



この『占畑任三郎』は1996年3月20日放送で、大泉さんは「大泉元気」名義で出演。この頃若干の期間ではありますが、大泉さんは「大泉元気」という芸名で出演していたようですが、切り替わりのタイミングはおそらく親にテレビ出演がバレてからかなと(笑)。親戚の集まりで、親戚のひとりから「元気くん」と呼ばれてしまい、ご両親にバレてしまったそうです。




『占畑任三郎』、実は視聴率がよく、最高視聴率では8.8%を記録しました。これは北海道ローカルの深夜1時から1時半放送にしてはすごい数字です。全然時代も違いますが、ちなみに現在深夜番組で合格点と言われる視聴率は0時台で7%、1時台で4%だそうです。



↑『占畑任三郎』のOP。手が込んでます。



そんな中、東京に引っ越す森崎さんのために、4人は一緒に荷造りを手伝います。音尾さんは森崎さんから大量のエロ本を譲り受けることになりましたが、いかんせんその日は世界最強の雨男・大泉さんがいたからか、大雨でした。



一生懸命大量のエロ本を持つ音尾さんと3人は、森崎さんの家からの帰り道、大惨事に遭います。なんと、紙袋の底が抜けて大量のエロ本が道路に散乱。4人は雨の中必死に大量のエロ本拾い集めたそうです。"エロ本”の連発使用すみません(笑)。でも最後までおバカな5人が可愛くて。バカだなぁー!(褒めてる)



ついにやってきたお別れの日。メンバーはもちろん、演劇研究会の後輩たちみんなで空港へ見送りに行きました。さすがの人徳です。みんなで向かい合って小学校のお別れ会のようにアーチを作り、森崎さんは爆笑しながら通ったとか(笑)。



音尾さんは、「最後に先輩、俺におごらせてよ」と、雪印パーラー夕張メロンのソフトクリームをプレゼント。森崎さんは初めて奢ってくれた!と大感激。戸次さんは旭川旅行でも被っていたあのピスタチオキャップを被ってきてくれていました。うぅ、私が森崎さんだったらもう既に泣いてる。



森崎さんがいよいよ旅立つとなり、最後に一人一言ずつ挨拶することになりました。口火を切ったのは、別の劇団に所属していましたが、今でも仲の良い菅野(通称:ハム)さん。ハムさんが話し出した瞬間に森崎さんは我慢の限界でボロボロと泣き出しました。そして東京に向かう飛行機の中でもずっと嗚咽するほど泣いていたそうです。切ない…!



4月

  • 戸次・在籍5年目
  • 大泉、音尾・4年生に進級

こうして森崎さんは東京へ旅立ち、安田さんも就職し、北海学園大学には3人だけとなりました。うぅ、なんだか切なくなったので、ここで学生組3人のおバカエピソードを。



当時まだ実家から大学に通っていた戸次さん。授業がない昼間に家で寝ていたところ、カチャカチャという異音に気づきました。


戸次:フッて見たらこの二人(大泉と音尾)いるんですよ。うちの実家にですよ!?俺の寝室に。で「何してんだお前らー!」って言ったら「いや、エロビデオでもないかと思って」って。
大泉:あれはなんの帰りだい?免許の更新かい?
音尾:あ、免許の更新だ。
大泉:免許の更新に。俺と音尾3月と4月だから。で、手稲だから。そんでシゲん家に行ったら、お父さんが庭仕事してて、「シゲちゃんいますかー?」って聞いたら「おお、寝てんでねぇか?入んなさい」って言うもんだから。そりゃあ一家の主が入んなさいって言うもんだからねぇ?
音尾:そうだねえ
大泉:じゃあいいだろうと入ったらまんまと寝てるわけですよ。ただエロビデオが見つかんなくてね
音尾:無くてね。エロ漫画しか落ちてなかった*2



ギャグマンガかよ。下三人は期待を裏切らない自由ぶりです。免許の更新と戸次さんの実家といえばこんなエピソードも。次の日が早いので、泊めてくれと言って大泉さんは戸次さんの実家に泊まることになったある年。しかし、いざ寝ようという時になって戸次さん大パニックの事件が。


戸次:俺は自分のベッドで寝たわけ。でこいつは床に布団敷かせて寝かしたわけ。そしたら、「大泉、もう寝るぞ」って電気消したら、「…シゲ、そっちいっていいか?」って言うのよ(笑)!
大泉:あははは!
戸次:で、俺は冗談だと思ったわけ。ホモネタで俺を笑わそうという、ネタだと思ってたわけ
森崎:あぁ(笑)
戸次:だから「ふざけんじゃねえばかやろう!」って笑いながらね?言うじゃない?
森崎:あぁ(笑)
戸次:そしたら「なんでそんなこと言うんだよ…悲しいじゃないかよ…」っていうふうに言うわけ(笑)!で、俺、途中からわかんなくなってきたの。
大泉:(爆笑中)
戸次:「あれ…?どっちだ…?」狙いか本気かどっちかって分かんなくなって。
森崎:あぁ(笑)
戸次:「い、いや、大泉ほんと寝るべ?寝るべ?寝るべ?」って。最後までこいつオチ付けずに寝たんだよ!
一同:(爆笑)
戸次:あれは未だに不思議。ネタだよな?大泉な?あれは。
大泉:なんか知らないけど一緒に寝たかったんですよね、僕ね。
一同:うーん(納得)
大泉:甘えん坊さんだからですかね。こう誰か横にいたほうが寝やすいなと思ってね。
音尾:そうだね。
森崎:大泉とにかくあれですよ。稽古場で俺に腕枕をせがみますよね。
大泉:(爆笑)
音尾:俺には膝枕をせがむ~。
森崎:そぉ?
音尾:そして髪撫でてくれって。
森崎:そう、髪撫でれって。
戸次:こいつ、その話だけ聞くとおかしいよね(笑)!*3


その話だけをピックアップしてみた(笑)。大泉さんが、「自分は甘えん坊だから」と言ったときの他の3人の反応が納得してる唸り声で笑いました。シゲちゃん大パニックの話を、笑いながら聞いてる森崎さんも、とっても優しい声でツボです。



とは言っても、甘えん坊な大泉さんは、30過ぎてからも社長の鈴井さんが韓国に映画の勉強でたった一年足らず修行に出るってだけなのに、どうでしょうイベントの壮行会でずっと目が潤んでいたほど、とにかく人との別れが大嫌いな人で。森崎さんと安田さんが卒業した後、内心一番ダメージを受けていたのは大泉さんではないかと思っています。



二人がいなくなってダメになったとは思われたくないから。もっと盛り上げなきゃって思いのほうが強かったですけどね。非常にだらしない会長でしたけど、劇団に勢いはありましたね。おそらく僕の会長時代が一番動員はありました。*4



この時彼は、一般人とタレントの狭間で人気者になっていくにつれて増える責任と戦っていたのかもしれません。




5月

  • 劇団イナダ組第11回公演「サンチョパンサのバカ」

16日-19日
戸次・大泉・音尾出演
ルネッサンス・マリア・テアトロにて



森崎さん、安田さんがいなくなった後も三人は劇団イナダ組で活躍してました。当時、戸次さんはどさんこワイドという、北海道で夕方に放送されているローカル情報番組に少しだけ出演していました。




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↑最近、田中美保さんがレギュラーになってちょっと話題になりましたよね。



レギュラーのリポーターになる前は、「コリコリスッキリ!」の決めゼリフで全身黒タイツのコリコリ君として出演していたのがほとんど。スポーツマッサージの先生が出るコーナーで、全身タイツの上にツボを示すシールを貼られ、そこを押されてリアクションをするというもので、その他にもミニコーナーの中継などをたまにやっていました。その中継に飛び入り出演という形で出ることになった大泉さんと音尾さん。


大泉:俺と音尾がな?イナダ組のサンチョパンサの宣伝にテレビ出るとき、こいつ(戸次さん)がコリコリ君かなんかやってて「あぁ、俺どさんこに口きけるから、じゃあどさんこで宣伝しようや」って。俺が元気くんやりたての頃ですよ。
森崎:あぁ、俺が東京行ってる頃だ。
大泉:俺のことヨゴレだヨゴレだって言って。「大泉、お前はヨゴレ怪獣だ。音尾、お前はそれを倒す」…なんだっけ?
音尾:なんとかマンみたいな…
大泉:はだか…
音尾:裸くんかな(笑)?
森崎:なんだそれ(笑)。
音尾:俺にはもう、パンツ一丁になれって(笑)。
大泉:「お前が裸くんだ、お前はヨゴレ怪獣だ。ヨゴレヨゴレ〜ってやれ。じゃあ読み合わせだ」って。「ヨゴレヨゴレ~」「そんなことはさせないぞ!」「裸くん!?」とかって(笑)。「よし、じゃあできたな。行くぞ!」ってこいつスーツ着てんの。
森崎・安田:うーわー(笑)!
大泉:「お前何着てんのよ」「俺は司会者だからスーツだよ」「ふざけんなお前!」って(笑)。
森崎:とにかくね、他者を落としてねぇ~
大泉:「俺ジャージにヨゴレか!」って。
戸次:あれは大泉さん、あのー、悪かった(笑)。*5


そして今や大泉さんとレギュラー番組で10年以上共演しているSTVアナウンサー・木村洋二さんらにネタ見せしたところ、「汚い」などとディレクターに言われ、本番では裸くんではなく素肌ちゃんになったそうです。名前のセンス(笑)。



一方その頃、森崎さんは証券会社の営業として入社一年目ながら、どんどん成績を残していました。なんと、新入社員なのに社長賞をもらってハワイ旅行をプレゼントされたとか。東京の証券会社の営業でこれはすごい快挙だと思います。


大泉:リーダーなんて東京で働いてた時に営業やって「ここは仕事取れる」と頑張って一緒に飲みに行ったらその人ホモだったんだからね
音尾:そうだ(笑)
大泉:最終的に迫られちゃって逃げ帰ったって話が
音尾:そうそう(笑)。言ってた(笑)*6


こんなドラマみたいなことってあるんですね(笑)。もちろん森崎さんの実力が素晴らしいということもあるでしょうが、芝居や北海道、仲間を忘れようと必死に仕事に没頭したからこんなにすごい成績を残したのかな、と個人的には思います。



7月

安田・大泉出演




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映画「ガメラ」の舞台が北海道だったため、鈴井さんが住民に注意を呼び掛ける札幌市職員役、安田さんが隕石落下の急報を伝える自衛隊員役、大泉さん逃げ惑う地下鉄乗客役として出演しましたが、鈴井さんのミスによって大泉さんだけ残念ながらエンドロールクレジットに名前が載っていません(笑)。ショックだっただろうに(笑)。



こうしてテレビに出始める他の4人の活躍を耳にし、森崎さんは自分の選んだ道に迷い始めます。そして、運命とも言える出来事がこの夏に起こります。


  • 8月

森崎、お盆に帰札。5人が偶然再会。


森崎:じいちゃんがボケちゃって。お盆に「ちょっとじいちゃん、最後に会えないか?」って親父から電話来まして。すごい俺が帰った日は調子が良かったらしくて。寝たきりだったんだけど、ムクって起き上がって「おー、博之。お前、頑張ってんだな~」って言ってくれたんですよね。「お前がんばれよ、札幌で」って言われた言葉が、すごく重くて。その足でね、旭川から羽田に向かう前に札幌に一回寄ったんですよね。で、そこであっさり皆と再会しちゃって(笑)*7


偶然再会した5人。いやー、これは運命というか、神様が揺らぎ始めた森崎さんに「演劇をやりなさい」と薦めたとしか思えない展開です。久しぶりの再会でテンションの上がった5人は、仲良く海に遊びに行ったそうです。*8青春ドラマかよ…!森崎さん最高の転機じゃないかよ…!



あまりの偶然に嬉しくなったのか、森崎さんはあんなに宣言したのに東京での住所を教えてしまい、その2週間後に戸次さんが遊びに上京。更にその2週間後には大泉さんが『水曜どうでしょう』の初回ロケで東京に前ノリした際に、鈴井さんやディレクター陣とは別に、森崎さんの家に泊まりに行きます。



水曜どうでしょう』は9月12日が番組初のロケとのことですので、前ノリしたのが11日だとすると、戸次さんが遊びに行ったのは8月28日、札幌で再会したのは8月14日。確かにお盆。ここの時系列は完璧でちょっと感動(笑)。みんなよく覚えてくれてた!ありがとう!



ちょっとモヤモヤしていた森崎さんは、可愛い後輩が次々にやってきちゃうもんだから、完全にホームシックになってしまいます。無邪気にFANTANコンビが会いに来ちゃって、そりゃホームシックになりますよね(笑)。寂しくなって安田さん以外の3人に手紙を書いて送ったとか。



音尾さんには「お世話になったな。お前は俺の弟のようなやつだった。今までありがとう」という感謝の文が2、3行。その後には大学時代に付き合っていた彼女へのメッセージが。最終的には「あいつに伝えてくれないか」となっていたようです(笑)。



ちなみに、安田さんには卒業時に東京での住所や電話番号を伝えており、連絡を取り合っていたので手紙は送らなかったようです。*9揺るがないワンツーコンビ…!



すっかり感傷的になっちゃっている森崎さん。そんな背中を押してくれたのは、おじいさまかもしれません。


森崎:そんなうちにじいちゃんが亡くなって、じいちゃんの遺影の前で決断しました。「じいちゃん、俺帰るわ」って。*10



おじいさまは天国で見てくれているでしょうか。森崎さんが決意したとは知らずに、もはや東京のホテル代わりに再び森崎さんの家に遊びに行く大泉さん。演劇研究会にあっという間に馴染んでいったように、4人の中でもその面白さがテレビでも認識され始めた大泉さんの状況を知って、森崎さんのプロデュース心に火がついてしまいます。


森崎:大泉の現状を見た時に、もう利用しない手はないと思ったの(笑)。こっからはもう、俺の制作心に火がついちゃって。「よし、これを利用させてもらって動員を倍々に増やしていけば、絶対食えるようになる!」と思って(笑)。そこに情熱を傾けていった。
大泉:東京に俺が遊びに行って、モリんとこ泊まってて、モリが俺に「大泉、俺…仕事を辞めようかと思うんだ。で、お前達と芝居しようと思うんだよ」というのを告げた。『その時、歴史が動いた』の”その時”ですよ(笑)。*11


しかし、流れ流れて生きているタイミングに恵まれた男・大泉さんはやはりここでも自分からアクションを起こすことに抵抗があったようで。


大泉:就職活動もしていないし、テレビもなんとなく出てるし、漠然とした不安はあるんだけど動かないんだよね。で、このおっさん、帰ってきてまた芝居やるだの、動員増やすだのって言ったら、そういう方向に俺が道を決めざるを得ない。芝居で生きていくのかどうかっていうことを考えなくちゃいけないっていう面倒くささっていうのかな(笑)?いつかは決めなきゃいけないんだけど、じわじわーっと続けたかったんだ、なんとなく。で、成り行き任せで就職するなら就職する、だめなら芝居続ける、ぐらいな気持ちでいたのに、「あ~、芝居って方に傾いちゃうな~」って思って、「いやー、そうかぁ。手放しじゃ喜べんなー」という名言が出たんですよ(笑)。
森崎:でも、俺にしてみりゃこんなショックな出来事がありますか!?だって俺が芝居を辞めると言った日に泣いた男ですよ!「モリ、芝居辞めるなんてヒドイよ!」って言って号泣した男だよ?で、俺が東京に旅立つときに見送りにも来ているわけですよ。涙のお別れもしているわけですよ。その男にですよ?舌の根も乾かぬうちに、半年後に「俺、やっぱり芝居やる」「手放しじゃ喜べねーな」って、この身の移り変わりは何(笑)!?「一生の内で一番ショックだったことは何ですか?」と言われたら俺はそれを答えるね(笑)。*12


これは森崎さんショックですよね!あんなに泣いてくれたのに喜んでくれないの!?って。よくぞ立ち直って北海道に戻ってきてくれました。そして有名な話ですが、森崎さんが帰ってくるということに大泉さんはこんな反応でしたが、音尾さんは「やったー、嬉しいなぁー!」と手放しで喜んだそうです。*13末っ子特有の無邪気さが可愛い。



「札幌に残ったほうが良かった。間違ってはいないけど、札幌に残ったであろう自分に嫉妬している自分が嫌だ」*14と結論づけた森崎さんは、夏を過ぎるとどうやって会社を辞めるかということを考え始めます。



10月

大泉出演

  • イナダ組第12回公演「プラシーボ・デパート」10月9日-13日

戸次・大泉・音尾出演
ルネッサンス・マリア・テアトロにて



伝説の番組「水曜どうでしょう」がスタートしました。来年で「どうでしょう」もNACS同様20周年です。更に学生3人はイナダ組のお芝居2つ目。結構忙しいスケジュールではないでしょうか。安田さんも歯医者で医療事務の仕事をしながら芝居を続けると決めたものの、仕事もそう甘いものではなく悩んでいました。


安田:一応その時OOPARTSは一旦休んでたんだけど、もう一度やらないか?って誘いが来たの。札幌で仕事してると、近いからやっちゃうんだよね。やってて、やっぱり案の定「芝居楽しいなぁ」なんて思って。仕事に馴染めなかったっていうのもあるんだけど、当時の事務長に言われたもんね。「お前どうしても芝居したいんだったら、バイトっていう手もあるんだよ。バイトっていう形でやったっていいんだよ」って。*15


当時の事務長さんはとてもいい人だったと安田さんは語っていますし、芝居を頑張ると決めた時にもこの方の言葉が心に残っているといいます。やりたいことと生活と、悩む二人は自然と連絡を取り合っていました。そんな中、森崎さんの背中を演劇の神様が更にひと押し。



12月

戸次、大泉、音尾出演。

  • 森崎、退職・帰札
  • 安田、退職



解散公演として上演した『LETTER~変わり続けるベクトルの障壁』が、「96年札幌お芝居大賞」の最優秀作品賞と最優秀脚本賞を受賞。しかし、すでに解散した劇団の作品ということで、札幌の演劇界では伝説の作品と一部で言われていました。その声を聞いた森崎さんは「伝説になっている場合か!」と演劇を、TEAM NACSを続けることを決め、悩み相談をしあっていた安田さんに連絡をします。


安田:俺電話来たんだよ。やっぱりさ、ずっと営業成績はいいんだけど、こっち(心)がちょっと参ってる時にさ、電話きて。「お前辞めんだって?」って。「俺も辞めようと思うんだけど、どう辞める?」っていう電話は来たよ。
大泉:安田さんのほうが辞めたのは早いの?
安田:あの、辞めるってことを言ったのは早いんですよ。で、その時(森崎さんから電話が来た時に)「俺今辞めるって言ってから結構キツイから、辞めることで迷惑をかけるのは一緒だから、直前のほうがいいんじゃね?」って言って。
森崎:で、俺はボーナスもらった次の日に辞表出した
安田:最低(笑)!*16


北海道に帰ると決めた森崎さんは、とりあえず仕事は続けようと思っていたようです。安田さんも、当時から同棲していた現在の奥様との結婚も考えていたでしょうし、二人は今の会社を辞めるとはいえ働くことを辞めることは考えていませんでした。



森崎:有楽町でUターンフェアっていうのをやってて、そこで、札幌の家庭教師の会社の人と会って「じゃあ引越し代もお家も車も面倒見るから、札幌帰っておいで」て言われたの。
戸次:ないでしょ普通。とんでもない人間力というか…*17


この就職経験の差が、メンバーの中で二人が大人に見えるのかな、と思います。安田さは戸次さん、大泉さんと同い年ですが、戸次さんと大泉さんは学生の間にどんどんNACSが人気になっていき、卒業してもそのまま演劇にシフトできましたが、森崎さんと安田さんは食べていくのに精一杯で。この点が、安田さんが二人がよりお兄ちゃんに見える要因ではないかな?と。




そして森崎さんは12月15日に会社を辞め、早々と年内に北海道に帰ってきました。そして三人が堂々と立つ定期公演を見て「あぁ~、もう1回やりてえなぁ」と再確認。*18おそらくこの時に、もう一度やらないかと三人に改めて言ったのではないかと思っています。




1996年。橋本龍太郎内閣が発足し、SMAPから森くんが抜けてしまい、任天堂64が発売され、渥美清さんが亡くなり国民栄誉賞が与えられ、アトランタオリンピックが開催され、O157食中毒が発生し、巨人が11.5ゲーム差をひっくり返してセ・リーグ優勝を決めるメークドラマが起こったこの年。




小室ファミリーの音楽が流れ、ルーズソックスを履くコギャルが街に溢れ、OLは『ロングバケーション』を見るために月曜は早く帰り、子供はポケモンに夢中、猿岩石がヒッチハイクをゴールしたというチョベリバでチョベリグな世の中で、12月31日に安田さんが退職し、解散したはずの5人が再び北海道に集まって一年を終えました。




ドラマ化してもいいんじゃないかと思ってしまうほど、劇的な解散からの1年間。夢を追う男って、魅力的で、格好いい。そしてそれを5人で続けて、成長させている現実が今現在見れることが嬉しい。




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*1:Wikipediaより

*2:『チビナックス2.0』特典映像より

*3:NACS GOTTA ME!』2002年1月5日放送

*4:『Cut』2009年4月号

*5:『NACS GOTTA MERELY』2003年1月4日放送

*6:ハナタレナックス』2012年6月174日放送より

*7:『LOOSER~失い続けてしまうアルバム』特典DVDより

*8:『LOOSER』パンフレットより

*9:2007年5月5日放送「all day トップランナー TEAM NACSスペシャル」より

*10:『LOOSER~失い続けてしまうアルバム』特典DVDより

*11:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*12:会報2006年12月号および『TEAM NACS TEN』より

*13:「LOOSER~失い続けてしまうアルバム」パンフレットより

*14:「LOOSER~失い続けてしまうアルバム」パンフレットより

*15:会報2006年9月号および『TEAM NACS TEN』より

*16:ハナタレナックス』2012年6月174日放送より

*17:ハナタレナックス』2012年6月174日放送より

*18:『Cut』2009年4月号